バタコさんジャム浣腸地獄



 ある朝のこと。
 いつものようにバタコはよく捏ねられたパン生地を丸めて鉄板の上に並べる作業に勤しんでいた。戦いに備えてアンパンマンの新しい顔を作っているのだ。
 それはもう何年も変わらない、見慣れた光景だった。

「おはようございます、バタコさん。今日もお早いですね」
「おはよう、アンパンマン」
「では、パトロールに行って来ます」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」

 これも見慣れた光景。
 このパン工場ではまるで一切の時間が止まっているかのように、同じやりとりが繰り返されていた。
 しかし、それを取り巻く環境は確実に変化していた。カバオ達はすでに卒業し、ミミ先生も結婚して退職。学校自体も過疎のため廃校になっていた。

 長きに渡りアンパンマンを攻めあぐねていたバイキンマンも、他の戦地に主力を移したのかその襲撃回数は極端に減り、アンパンマン以外のヒーロー達は現役を退いていた。
 パン工場は完全に時の流れから取り残されてしまっていた。

 バタコは悩んでいた。自分がこのままここに居続ける意味はあるのだろうか? 形骸化したアンパンマンのパトロールのために顔を焼き続ける必要はあるのだろうか? いつもいつも当たり前のようにパンを焼き続けて、誰からも意識されない生活を続けていくのだろうか?

 旧ソ連、シベリアに拘束された捕虜達は、日夜穴を掘らされ、その同じ穴を埋めるといった作業に従事させられていたらしい。
 達成感も何もない無駄な作業を延々と強制され続ける日々。そんな中で老いてゆく自分の姿に、多くの捕虜達は精神を病んでいったという。

 単調な日々を繰り返すにつれ、自分の姿がその捕虜達に重ね合わされるような不安に、バタコは捕らわれるようになっていた。

(このままでいいのかなぁ……)

 発酵した生地が放つ香ばしい香りをかぎながら、バタコは言いしれない孤独感に苛まれていた。

(誰も気づかないなんて……毎日顔を合わせているアンパンマンですら……)

 今日はバタコの16歳の誕生日だった。
 だが、そんなイベントですら誰も取り上げようとしない。寂寞とした日常に苛まれ、バタコは思わずうつむき目頭を濡らした。
 その潤んだ視界の中に、自らの無駄に成長した女の身体が映った。
 エプロンの下から自己主張するふくよかな乳房、ほっそりと引き締まった蠱惑的な腰のくびれ。どれ一つ取っても、彼女が普通の環境にいたならば男の一人もいて当然と思わせるに十分だった。

(やっぱりここ、辞めちゃおうかな……)

 バタコがパン工場を辞めようと思う理由はもう一つあった。パン工場自体の経営状態だ。
 過疎による人口減少と学校の廃校措置で、パンの需要は大幅に落ち込んだ。その上、バイキンマンの襲撃が無くなったことによって、アンパンマンの戦いを見物に来ていた観光客への売り上げも見込めなくなり、戦闘のたびに国際パン連盟から給付されていた補助金も受け取れなくなっていた。
 売れないパンを焼き、使わないアンパンマンの顔を作って給料をもらうこと自体、バタコには憚られるような現状だったのである。

(……よし。今日にでもちゃんとジャムおじさんに相談しよう。辞めるかどうか決めるのはそれからでいいよね)

 とりあえず思い悩むのをやめたそのとき、厨房の外から聞き慣れた声が聞こえてきた。

「バタコさん、ちょっといいかね?」
「あ、はいどうぞ。入ってきてください」
(どうしよう、ジャムおじさんだ。今相談しちゃおうかしら……)

 そんなバタコの躊躇をよそに、ジャムおじさんはいつもの優しい笑みをたたえたまま厨房に入ってくる。その腕には小さな紙袋が抱えられていた。バタコはそそくさと手を洗うと、厨房の脇に立てかけていた折り畳み式の椅子を取り出した。

「ああ、ありがとう。実は大事な話があってね……」

 椅子に腰掛けながらジャムおじさんは切り出す。

「本当は今日のバタコさんの仕事が終わってから言おうかと思っていたんだが……」
(なに……? 大事な話って……私のお給料のことかしら? それとも何か事件でも……)
「バタコさん。お誕生日おめでとう。これは私からのプレゼントだ」
「えっ?」

 ジャムおじさんが差し出した紙袋を反射的に受け取りながら、バタコは驚きのあまりそのまま硬直してしまった。昨年も一昨年も忘れられていた自分の誕生日に、まさかプレゼントなどもらえるとは夢にも思っていなかったからである。

「あ、あの……」
「ん? どうしたんだい?」

 思わず息を詰まらせるバタコを、ジャムおじさんは柔和な笑みをたたえたまま見つめる。顔を起こせばこぼれ落ちそうになる感激の涙のせいで、もはやバタコはまともに目を合わせることすら出来なかった。

「ありがとう……ございます。覚えていてくれたんですね……」
「はは、当たり前じゃないか。今日はバタコさんの大事な16歳の誕生日なんだから」

 袋の中身を改めようと開封しながら、震える声で感謝の意を告げるバタコに対して、ジャムおじさんは相変わらずの笑みで答えた。

「その、何ですか? 大事なって……あれ、何これ……?」

 ジャムおじさんの言葉の端に含まれる妙な響きに不安を覚えながら、バタコが袋の中から取りだしたのは一条の鎖だった。両端に黒くてかる革製の枷が取り付けられている。

「鎖……?」
「ああ、鎖だよ。バタコさんが逃げないように、しっかりと繋ぎ留めておくためのね」
「何を……言って……」
「食パンマン! カレーパンマン!」

 混乱したまま続ける言葉を失っているバタコを遮って、ジャムおじさんが叫んだ。その呼びかけに応じて、扉の奥から今はもう引退したはずの二人のヒーローが姿を現す。だが、その瞳にはかつてのような輝きはなく、操られるがままに動く傀儡のような有様だった。

「きゃあああっ!」

 食パンマン達は、華奢なバタコの身体を押さえつけると、後ろ手にねじ上げたその両腕に枷を取り付ける。無言で淡々と何かの作業のようにバタコの身体を拘束した。

「やめてぇ! 離して! どうしてこんなことするのよ!?」
「…………」

 返事はない。聞こえていないと言うよりは思考そのものが無いかのような振る舞いだ。

「離してって言ってるのに……あ、あなた達だってかつては正義のために戦った戦士でしょう!?」
「ふぅ……無駄じゃよ……コイツらの心はすっかり腐ってしまった……何しろ私たちがコイツらの顔を焼かなくなってから何年も経つからなあ」

 悲しげな、しかしどこかしら期待感を含んだ口調でジャムおじさんは嘆いてみせる。

「なに、大丈夫だよ。バタコさん次第でコイツらも生きていく気力ってものを取り戻すことができる」

 にやり、と残酷な笑みを浮かべながら、ジャムおじさんはバタコの顔の前に自らの顔を近づけた。

「ジャムおじさん、しっかりして下さい! いったい何を言ってるのかわからな……きゃああっ!」

 後ろ手に縛られた両手が高々とつり上げられた。食パンマン達によってエプロンはまくり上げられ、色気の欠片もないズボンと白いパンツは無惨にも引きはがされ、無造作に投げ捨てられていた。

「ひ、ひひひひ……思った通り、いや思った以上に発育しておるわい。このスベスベのツヤツヤ……うひ、うひひひ……」
「ひっ……」

 目の前に差し出されたバタコの尻肉にがさついた指を這わせながら、ジャムおじさんはいやらしい笑い声を立てる。きめが細かく弾力豊かで白く健康的な双球は、その指を優しく押し返しながらその魅力を自己主張していた。

「怖い……怖いよ。お願い、もうこんなバカなことやめて……」
「やめる、だって!? とんでもない! これからだよ! これから教育が始まるんだ!」
「えっ……」
「バタコさん、君はこの工場を辞めようと考えていたんだろう?」
「……」
「……辞めさせないよ。辞めさせるもんか! 二度と私から離れようなんて気が起こらないようにその身体にみっちり叩き込んでやる! ククク……安心しなさい。痛いことなんてこれっぽっちもないから……」
「く、狂ってる……」

 目に狂気の光をたたえるジャムおじさんの腕に抱えられているのは巨大なガラス製の浣腸器だ。2リットルはあろうかというその中身は、毒々しい真っ赤な物質でびっしりと満たされていた。

「さあ二人とも、バタコが動かないようにしっかりと押さえるんだ!」
「……」

 もはや意志の光をその目から失ったかつての正義の戦士達は、無言でバタコの身体を押さえつけ、その媚尻をジャムおじさんに向けて固定する。手入れの行き届いていない恥毛の林が、恐怖と羞恥にぴくり、と揺れた。

「ひひ……悪い娘だ。マン毛もケツ毛もこんなに無駄に茂らせおって……これは教育が必要だなぁ」

 ブツブツと呟きながら笑みを浮かべると、ジャムおじさんは手にした浣腸器の先端を陰毛に隠れた小さな窄まりへと差し入れた。

「ひぃっ!?」

 ガラスの冷たさに身をこわばらせるバタコを一瞥すると、ジャムおじさんはその中身をバタコの腸内に勢いよく流し込んだ。

「……くあぁっ!? あっ、あくぅぅぅっ! お、お尻にいぃっ! これって……ジャム!?」

 粘度の高い液体が肛門括約筋を通過する。同時に、周囲に漂うイチゴの甘い香りにバタコはその中身を理解した。

「どぉして……こんなバカなこと……うぅっ!」

 びちゅる――潰れそこなったイチゴの固まりが尻筋を押し退けながら奥へ吸い込まれてゆく。浣腸器の中の水飴上の液体が減ってゆくにつれて、バタコの小さな腹部はぷっくりと膨らみを帯びてゆく。高まる内圧がもたらす不快感にバタコの全身から汗が噴き出した。

「あっ、あ゛あぁっ!! お尻ぃっ……くぅぅ……気持ち悪……うぅ……」
「ひひ、ひひひひ……どうだい? ジャム浣腸の味は? んんー? もうお腹いっぱいかぁ? まだ半分も入っていないぞぉ?」

 ジャムおじさんは節くれ立った指先でバタコの腹を撫でさする。そのおぞましい感触にバタコは全身総毛立った。

「くっ……はぁっ、はぁっ、はぁっ……あうぅ……お腹ぁ、裂けちゃうぅ……うぐっ、うええぇっ……」

 不快感は徐々に鈍痛に変わり、バタコは恐怖と苦しみに目を剥く。その様にジャムおじさんは満足げに微笑んだ。

(助けて……アンパンマン! お願い、早く帰ってきてぇぇっ!)

 必死の思いは、腹の底から響く痛みにうち消されていった。

「う、くぅ……」

 きゅぽん、という一種コミカルともいえる音を立てて浣腸器の先端が引き抜かれる。2リットルのジャムを全て飲み込んだバタコの腹部は、今やその控えめな胸よりも大きくせり出し、中に詰め込まれた物体に対する不快感に震えていた。

「う、うぅ……かゆい、かゆいぃっ! ひいぃいぃっ! お尻がっ! お願いぃ! トイレに、トイレに行かせてくださいっ!」

 歯をがちがちと鳴らしながら不快感をあらわにしてバタコはその場にへたり込んだ。食パンマン達の手からせっかく解放された身体も、下腹部に詰め込まれた爆弾によって動きを封じられていたのだ。無理に立ち上がれば、その中身が堰を切って噴き出してくることは必至だった。

「うひひひ、効いてきたようじゃのう。そのジャムは特別製でな、過剰に配合した糖分のせいで尻の粘膜はとてつもない痒みに襲われるのじゃよ。私も伊達にジャムおじさんなどと呼ばれていないということさ」

 バタコの顔面のすぐ脇に顔を近づけて、ジャムおじさんは得意げな笑みを浮かべる。老人特有のすえた臭いがつん、とバタコの鼻をついた。

「いや、いや、いやあああぁっ! かゆい、かゆいかゆいかゆいかゆいぃっ! お尻かゆいよぉっ! 助けてぇ! 狂っちゃうぅっ!!」

 今やバタコの腹の中は肛門から直腸、大腸の中程までびっしりとジャムでみたされていた。腸の内壁のシワの一本一本までジャムに浸食され、浸透圧によって腸壁の細胞から水分が吸い出される。反射的に蠕動して異物を排泄しようとする大腸と、それを押しとどめる肛門括約筋の動きが相まってもたらされるあまりの痒さに、バタコは半狂乱でもだえ狂った。

「いあぁぁぁ……痒いぃ、痒いぃ……ううぅあぅあぅぅぅ……」

 本来なら暴れ回りながら必至にトイレを探して走りたいのだが、今のバタコにはへたり込んだまま唇を戦慄かせ、半裸の上半身をいやいやと振り動かすことしかできなかった。背中で両腕を拘束している鎖が、がちゃがちゃと無慈悲で無機質な音を立てた。

(アンパンマン……アンパンマンが帰ってくればきっと助けてくれるわ! アンパンマンさえ帰ってくれば……)

 油断すれば正気を失ってしまいそうになるほどの掻痒感を必至に堪え、一縷の望みにすがるバタコ。そんな彼女の耳に、待ちわびた声が入ってきた。

「ただいま戻りました。今日も町は異常なく……あれ? ジャムおじさんはいないのかな?」

(アンパンマンだわ! よかった。これできっと助かる! 早く知らせなきゃ!)
「ふむ……予定通り、だな……」

 ぼそりと呟くジャムおじさんの言葉など、今のバタコの耳には入らない。

「あれぇ、バタコさーん! いるんですかぁ!?」
「アンパンマン! こっちよ! 早く、早く助けに来てぇ!」
「……!! 厨房か!?」

 バタコの言葉にただならぬものを感じ取ったアンパンマンは、急いで臨戦態勢を取り、厨房の扉を蹴り開けた。

「これは……!?」

 中の惨状を見てアンパンマンは絶句した。作業の途中で放り出されたと思しきパン生地。精気を失った目で立ちつくす食パンマンとカレーパンマン。その足下で、半裸で後ろ手に縛られ、青ざめた顔をしているバタコ。椅子に腰掛けてニヤニヤと微笑み続けるジャムおじさん。

「一体どうしたっていうんです? この有様は……」
「助けてアンパンマン! ジャムおじさんがおかしいのぉっ!」

 立ちつくすアンパンマンに向かって、静かにジャムおじさんは話し始めた。

「なに、君は覚えていなかったかもしれないが、今日はバタコの16歳の誕生日だったのだよ」
「……」

 その言葉にアンパンマンはしばし沈黙する。そして数瞬の後、まるで気でもふれたかのように不気味な含み笑いを始めた。

「クッ、ククククク……そうかそうか、もうそんなに年月が経っていたんだ。全然気が付かなかったよ……」
「アン……パンマン……?」
「いやあ、バタコさん。お誕生日おめでとう。そうかそうかそうかぁ! もう16か! それじゃあそろそろ工場も方針転換ってワケだ!」
「え……?」
「なーにボケたツラしてやがんだよ、オイ! テメー、ジャムおじさんにジャム浣腸されちまったんだろう!?」
「え、え……?」
「あぁ!? もしかしてお前、俺が助けてくれるとでも思ったのかぁ? 残念だったなぁ。もうテメーは元の生活になんか戻れやしねえよ! ジャムおじさんのジャムをたぁ〜っぷり身体に浴びちまったからなあ!」
「あ、ああぁ……」

 乱暴ながら、どこか哀れむような口調。一瞬にして救世主を失ったバタコの顔から見る見る血の気が引いてゆく。

「さぁて、盛大にぶちまけてもらおうじゃねーか。ここによぉ!」

 アンパンマンが指さした場所。バタコのすぐ背後の床には、たった今までバタコが作っていた、アンパンマンの顔の元になる生地が並べられた鉄板が置かれていた。

「そんな……! ダメよ、そんなことしたら……だって、それは貴方の顔なのよ!」
「顔……か……」

 血相を変えるバタコに、どこか寂しそうにアンパンマンは語り始めた。

「なぁバタコ……お前、頭がすげ替えられる気持ちって解るか? 解るはずねぇよなぁ……」
「それは……」
「なんなら今、俺がお前の首をちょん切ってやろうかぁ?」
「いやあっ……そんなことされたら……死んじゃう……」
「だよなぁ、お前ら人間は頭が無くなったら死んじまう。たった一つの命だからなぁ。けどよぉ、俺や、コイツら……」

 アンパンマンはバタコの身体を無表情で取り押さえ続ける食パンマンとカレーパンマンを指さして言葉を続ける。

「俺たちは基本的に不死身だからな。何度頭を潰されて、脳をやられて、もうダメだって思っても、新しい頭に取り替えられた途端に、すぐ元気になっちまうんだ。スゲーぜホント、気分爽快だ。たった今まで痛くて苦しくて、もういっそ殺してくれって思ってても、頭が新しくなっただけでそんなもんポーンと忘れちまう」

 アンパンマンはふぅと小さくため息をついた。厨房の中は静寂が支配し、バタコはおろかジャムおじさんですら話に聞き入っている。

「……けどよぉ、そんな苦しみなんかと一緒に、何か大事なものが失われていってる気がするんだよ。上手く言えねぇけど、同じ顔を着けてる間に経験した積み重ね、ってのかな。ちょっとの間だけど、人間達の間で生活して身につけてる人間らしさってのが、ほんの少しなんだが蓄積してるはずなんだ。だから、古い頭と一緒にそういったものまで捨てられるのが、何かもったいなくてよぉ……正直、こうやってカビが生えながらでも同じ頭を着け続けてるコイツらが羨ましいって思うぜ」
「アン……パンマン……」

「なーに辛気くせぇツラしてんだオラァ! とっととその汚ねえ腹ン中ぶちまけろや! この糞ブタが!」
「あぐうぅっ!」

 アンパンマンの硬いブーツのつま先が、膨れたバタコの腹を蹴り上げた。

「いやあああああぁぁぁーーっ!!」

 突然の刺激にバタコの腹膜は大きくうなる。直後、同じく耐えていた肛門の筋肉も決壊した。

「あああぁぁっ! だめ、だめえぇっ! 出ちゃう、出ちゃうぅっ! とまんないよぉっ!」

 厨房中、いや工場中に響き渡る猛烈な噴出音を上げて、力の抜けたバタコの肛門からジャムが噴き出してゆく。鉄板の上には見る間に赤茶色の固まりが盛り上げられ、覆い尽くさんばかりに広がった。。
 立ちのぼる湯気からは、ねっとりとした甘いイチゴの香りに混ざり、ツンと鼻につく糞便の悪臭が漂っている。

「ハッ、ハハハハ! 臭い臭い! ジャムおじさん、厨房がこんなに臭いんじゃこの工場、まともに機能しませんぜ! 俺の新しい顔ももう焼けねぇなぁ! ヒャーハハハハ!」
「ひひひ……困った困った……バタコさんには責任をとってもらわなければなぁ……」
「いやあぁっ! とまらないぃっ! ジャムが出るの止まらないぃっ! 痒いぃっ! かゆいよぉっ! 助けてぇっ!」

 大して困った風でもなく、ニヤついた笑みを浮かべながら見下ろす二人の目の前で、バタコは泣きわめきながら腹の中のモノを全てぶちまけた。

「ひぃ……はぁ……あぁぁ……お尻かゆいぃ……お願い、これ外してください……お尻が痒くてどうにかなっちゃうよぉ……」

 放心して弱々しくうめきながらバタコは哀願する。その言葉通り、彼女の尻はジャムの糖分のためにかぶれて赤く腫れ上がっていた。

「ふむ、どう思うかね? アンパンマン」
「ハッ、こんなワガママ娘の言うことなんてきいてやる必要はないですよ。そうですねぇ、もう数時間放置するというのも……」
「いやああああぁ! そんなことされたら……だめえ、狂っちゃうよぉ! おかしくなっちゃう!」
「あーもううるせーな! そんなに痒いなら俺が掻いてやるよ。そらっ!」
「きゃあっ!」

 アンパンマンはバタコの背中の鎖を持つと、彼女の身体をうつぶせに押し倒す。ベタベタに汚れ、赤く腫れ上がった陰部が空気にさらされる。

「ヒャハハ! こいつは痒そうだ! 可哀想に」
「く、あああぁぁんっ!」

 全く可哀想とは思っていないような口調で感想を述べながら、アンパンマンは自らの逸物をバタコのアナルに深く突き入れた。

「ひきゃうぅっ! あっ、くっ、かあぁっ! あンッ! あひぃっ! お尻がぁ……!」

 浣腸によって空にされた直腸をほじくり返される感覚と、長きに渡って続いた掻痒感から解放される喜びにバタコは歓喜の涙と涎を垂らしながら犬のように腰を振った。
 もはや彼女に、人間としての尊厳を保てるだけの精神力は残されていなかった。

「ヒャハハハハ! こいつぁイイ、まるで犬みたいなツラしてやがるぜ! 何なら今度チーズと後尾でもしてみるか? あぁ?」
「ひぃぃん、いいぃっ! こんな……お尻が……すご……だめえぇっ!」
「お? おぉ? 何だぁ? もしかしてケツだけでイッちまうのかぁ?」

 アンパンマンが腰を突き立てるリズムに合わせて、バタコは肛門括約筋をぐいぐいと締め付ける。自らのモノからそれを感じ取ったアンパンマンは、さも愉快といったようにバタコの耳元で問いかけた。
 アンパンマンは円を描くように腰を振りたくる。たっぷりとジャムの染みこんだ腸壁をまんべんなく擦られ、バタコは喜びに腰を振り、快楽の高みへと徐々に上り詰めていった。

「ひぃぃぃ! ひんっ! イッ……!! ……!!」

 うわずった声で哭きながら、バタコは襲い来る快楽の奔流にその身を震わせた。

「アッハハハハハ! 全くあきれたぜ! 男も知らないお前がケツだけでイッちまうとはなあ!」
「はぁーっ、はぁっ、はあぁぁ……」

 抗いがたい快楽に身を任せ、バタコは放心した目に涙を浮かべながてうつ伏せに倒れ込んだ。その目の前に顔を近づけてジャムおじさんが宣告する。

「ひひひひ……これから毎日、バタコさんにジャム浣腸をしてあげるからね。一週間もすればこの快楽が病みつきになることは間違いないさ……」
「そんなあっ! いやあっ! そんなことしたら……」
「なに、心配しなくても大丈夫。バタコさんのアナルがお客さんを取れるぐらい立派になれば、工場の経営も持ち直すから……いひひひひひ……」
「そ、そんなあああぁぁーっ!」

 絶望の叫びが工場の中に響き渡る。だが、助けに来るものは誰もいなかった。


おしまい