小説「ホーリーケイヴ」より内容を一部抜粋しました。 (舐め取ってる…アタシたちのザーメンを……こいつらが飲んでる……) 取って食われている訳ではないにしろ、水香は何だか自分がこの触手生物に捕食されているような感じを受けていた。 (なるほど…生贄ってこういうことだったんだ…) 回りくどい摂取法だが、確かにこの生物にとって水香たちの精液はタンパク源になっている。生贄は養分を供給するための土壌のようなものというわけだ。 ぐいっ! 「ひゃんっ!」 へばりついていた精液をあらかた吸い終わると、触手生物は水香の身体を抱えて起こし、無理矢理立ち上がらせる。ジャージの上から両腕を縛っていた触手が、首元から入り込んてジャージを脱がし、そのままもう一度両腕に絡みついて縛り付ける。今度は肌に直接だ。 今の水香は体力を消耗しきって、触手たちに支えられてようやく立っていられる状態だ。そんな身体にカンフル剤を打ち込むように、宙に控えていた触手が水香の口元めがけて突き進み、半開きの口内へと侵入してきた。 「んごむっ!?」 一瞬にして口腔がぶよぶよした肉塊で埋められた。無理矢理くわえさせられた触手は相当な太さで、アゴが外れそうなほどに口を広げる。抵抗らしい抵抗も出来ないまま、水香は喉にまでその先端を受け入れていた。 ぐちゅっ! ぬちゅっ! じゅくっ! 「んむぐぅーーっ! むーっ! むううぅっ!」 鼻から呻き声を発して、水香は喉を犯す触手に反応する。惜しげもなく大量に分泌される粘液は、まるでスイカの汁のような甘みを帯びていた。 (アタシ…喉を犯されてる……! 触手…甘くておいしい……それに、気持ちいい…) 今や水香の身体は、喉すら性感帯になっていた。喉をこじ開けられる苦しさよりも、犯される快感の方が勝っているせいか、えづくことはなかった。 喉や胃の粘膜から吸収された水分と媚薬成分は、たちまちのうちに消耗した水香の身体へ活力を与え、ヘナヘナになっていた乳首とペニスを再勃起させる。 ぞくぞくぞくっ! (ああっ…アタシの身体……また犯されようとしてる…! また気持ちよくなっちゃう!) 先刻までの快感がフラッシュバックして、水香は恐怖と期待の入り交じった予感に襲われた。 ぴちゃっ! ずるるるっ! 「んっ…むくううんっ!」 スパッツの履き口に触手が引っかけられ、一気に膝までずり下ろされる。ついに姿を露わにしたペニスは、勢いでプルプルと滑稽に揺れ、その存在をアピールした。 その次の瞬間には、たった今ナイロン生地の刺激から解放されたばかりのペニスへ、新たな脅威が迫っていた。 本体から新しく伸びてきた触手は、チューブのような形状をしていた。外径が約五センチ、内径は約三センチ、外にも内にもびっしりと柔毛が生えそろっている。そいつが、無防備にそそり立つ水香のペニス先端へと辿り着いたのだ。 (まさか……そんなので!? そんなのでゴシゴシするの? そんなのされたら狂う! 狂っちゃう!!) ずぶぶぅぅーーーーっ! 「んおおおおおおーーーっ!! んごっ! のごぉっ!!」 危機感を覚えたのはごく一瞬のことだった。それ以上思考する暇を与えずに、パックリと口を開けたチューブ触手がペニスを飲み込んだのだ。亀頭がすっぽりと包まれ、三百六十度全方向から柔毛に撫で擦られる。たまったものではなかった。 じゅぶるっ! ずじゅるっ! ぬじゅるっ! 「おうんっ! ほごぐぅんっ! おうんっ!!」 この攻撃に対し、水香はなすすべもなくただ与えられる快感を受け止めていた。結果、勃起したペニスの奥では腺組織がキュンキュンとわななき、精液をまたも大量に作り出してゆく。そのすぐ裏にあたる膣内でも筋肉の収縮が起き、それを押し返す触手の動きによってさらに造精が加速してゆく。 びくんっ! びくびくっ! びゅるびゅるびゅる……ずずずずずずちゅううっぅーーっ!! 「もほおおぉーーっ! ごもっ! おもおぅんっ!!」 チューブ触手に包まれたペニスが大きく跳ねる。触手の巻き付く両胸をぶるんぶるん揺らして、水香は絶頂に達し射精した。だが今度は噴水とはいかない。鈴口から放出された大量の精液は、またたく間にチューブ触手によってバキュームされ、濁流となって触手物本体の方へと吸い取られてゆくのだ。文字通り、精を吸われていた。 「ふんんんむーーーっ! ふんぬんんーーっ!!」 (ああっ、出るの出るの出るのぉっ! 射精しても射精してもザーメン出て、それが全部吸い取られていく、イク、イクウゥッ!!) 鼻から獣のように荒い息を吐きつつ、水香は搾精される快感でまた新たな絶頂に達する。絶頂感によって造精器官はまたしても活性化され、新たに射精するための精液を作り始める。正のフィードバックを形作るループが形成された。 (ああっ…止まらないよぉ……イクの止まらなくて、ザーメン作るのも出すのも止まらなくて……) 十数秒に及ぶ射精が一旦終わり、牝としての絶頂に達した状態のまま水香は考えていた。 今自分が放出した精液は、確かに尋常ではない量だ。だがそれだけでこの『神様』は満足するのだろうか。水香の十倍はありそうな巨大な体を持つこの生命体が栄養源とするには、それでもまだまだ足りないのではないか。その証拠に、自分の身体はまだなお精液を作ろうとしている。 (また…また吸われるんだ……もっとたくさん、もっと長い間、もっともっともっと…) 恐怖感はもう全くなかった。自分が精液を吸い取られるポンプと化すという予感に、水香は純粋な期待感を抱いていた。 ぬちゃっ… (…!? そこ、お尻の穴……!?) 不意にアヌスを突いた触手に、水香は戸惑いを覚える。 「んっ、ぐむうううぅぅーーーーっ!!」 ずぶりゅっ! ずちゅっ! 躊躇することなく、触手はあっさりと括約筋を押し分けて直腸の中に入り込んできた。直腸壁が押されて膣を圧迫し、連鎖的に膣内の触手も押されてペニスの根本を圧迫して、造精腺に溜まった精液を尿道へと押し流す。 びゅくんっ、びゅるびゅるびゅるっ! 「んごぉーーーっ! ふもぉぉーーーっ!!」 またも獣のような吠え声を発して、水香は射精した。すぐさまチューブ触手の中に負圧がかかり、吐き出されたばかりの精液が吸飲されてゆく。 ずるっ…ずるっ…ずるっ…… 「んんっ…んぐふぅぅ……」 射精の余韻にビクビク全身を痙攣させているうちに、腸内へ入り込んだ触手はS字結腸を抜けて奥へと突き進んでいた。大腸の内壁にこびりついた宿便をそぎ落とし、分泌液で溶かしながら、下行結腸を上へ登ってゆく。 (苦しいっ……痛い…? いや、気持ちいい……!?) 何とも不思議な感覚だった。遡行する触手は腹膜を圧迫して激痛をもたらしている。にもかかわらず、水香が感じ取ったのは苦痛の量を超える圧倒的な快感だった。 内臓からの苦痛を快感と受け取ってしまうほどに神経が改造されているのだ。水香はそのとこに驚き戸惑い、そして絶望した。 「んっ、ぐっ! むおおおおおおおおーーーっ!!」 びゅるるるっ! じゅるるるるるっ! 触手が横行結腸への曲がり角を乱暴に通り抜けると、腹膜には一段と大きな激痛が走った。痛みはすぐに愉悦感に変わり、またしても射精衝動を呼び起こす。咆吼を放って、水香は射精した。 その間も搾精攻撃は緩められることはない。もっと精液をよこせ、もっと栄養をよこせとばかりに、触手たちは水香の膣奥をかき回し、腸内を這い登り、乳房をもみしだき、ペニスを擦り搾る。 「む…くうううううんんっ!!」 びくびくびくっ! ちゅるっ、じゅるじゅるっ! 遠くを見つめるような眼で甘ったるい呻きを上げ、水香はまた射精する。もう腸の中の触手がどこまで進んでいるかなど解らなかった。 小腸に入ったのかもしれないし、ひょっとしたら腸壁が溶かされて他の臓器を攻撃しているのかもしれない。いずれにせよ、そんなことを考える余裕など今の水香には全くなかった。 「んごっ、おえっ! えうぐむぅえぁっ!?」 唐突に、水香は吐き気をもよおした。発生源は胃だ。腸を遡行してきた触手が、幽門を逆からこじ開けて胃の中に入り込み、とぐろを巻き始めたのだ。強烈な胃もたれに見舞われ、胃が痙攣する。 (苦しいっ! 吐くっ! もどすっ!!) 吐き気はすぐに強まり、水香は胃に溜まった触手を嘔吐した。だが、口の中は別の触手によって塞がっている。喉の奥で両側の触手は互いに触れ合い、まるで何かを確認し合うかのようにじゃれあった。 「んおぉっ! おおえっ! おええっ!」 (苦しいっ! 息が…息がほとんど出来ない……!) 喉を支配していた口側の触手が道を譲り、胃側の触手はさらに先へと遡行を続けてゆく。向かう先は口腔ではない。さらに上、鼻腔の奥だ。 「ふぉぁ…うっく……むぁ……」 (鼻の奥がくすぐったい…これって……!) 水香の体内に居るときに枝分かれのだろうか、鼻の奥に到達した触手は二本になっていた。じりじりと鼻腔に侵入して、粘膜をくすぐる。 「ふむぅっ! むぐひゅぉっ!!」 ぶしゃああああーーっ! 両鼻から盛大に黄色い液体が噴き出した。くしゃみと同時に、触手たちが消化管から運んできた物が全て吐き出されたのだ。 流れ出した液体は、溶解した宿便、腸液、消化中だった食物、胃液、鼻水といった類の混合溶液、および触手の分泌した甘い媚薬粘液だった。 鼻腔に侵入した触手は粘液を塗りたくって、老廃液が鼻に染みるツーンとした感覚を消し去ってゆく。鼻粘膜から吸収された媚毒はすぐに脳へ到達し、陶然とした快感を呼び起こす。 「へぎゃむぎゅんっ!」 ずるずるずるっ!! びくんびくんびくんっ! 敏感な性感帯と化していた鼻孔の神経は、細部にわたるまで一つ一つの細胞が、隣接する触手によって快感を与えられている。 触手がずれ動くと、直結する脳の神経に強烈なパルスが走って、はじけた。 くしゃみで「イク」 全くの未知だったその感覚を、水香は一瞬で理解した。 くしゃみと同時に、今度は鼻腔の奥でとぐろを巻いていた触手の端が、鼻腔の外まで姿を現した。肛門から鼻まで、貫通されたのだ。 ズルリとほどけ出た触手は、外の空気に触れて嬉しくなったかのようにブルブルと跳ね動き、さらに新しいくしゃみの衝動を誘発する。 「ふあむっ……!」 びくんっ! びくびくびくびくんっ!! じゅるじゅるじゅるじゅるっ! 三発目はもはやくしゃみではなかった。肺の中の空気が底を突いているのだ。それでも鼻腔は痙攣を起こして、居座る触手を外へ追い出そうと蠕動する。だが無駄だ。その蠕動は自らの鼻粘膜を触手に擦りつけるだけという結果を生んだ。鼻粘膜から起こった絶頂感に、ペニスまでもが反応して射精し吸引される。 (息が出来ない! 溺れる……) |